6人が本棚に入れています
本棚に追加
俺が目を覚ますとまず鼻に美味そうな匂いが直撃した。
その匂いを嗅ぐと今日が休みなんだと実感できて嬉しくなる。
そう言えば今日はアイツも休みだったっけか。
布団を抜け出してキッチンに向かうと、パジャマのまま珈琲を飲みながら新聞を広げるアイツの姿。
「おはよう!」
「あぁ、おはよう。二日酔いは無いか?」
「大丈夫!昨日は休肝日にしたからな」
何気無い朝の挨拶だけど、俺の身体を自然に気遣ってくれる事が嬉しくてついついニヤケちまう。
「最近飲み過ぎだったからな、たまにはそういう日も必要か。よく寝れたか?」
「酒が無くても寝れるっての、それより朝飯なに?」
俺がカウンターテーブルの向かいに座れば、アイツが自然に新聞を畳んで動き出しながら。
「米と味噌汁にほうれん草のおひたし、それとベーコンエッグを和風にしてみた」
「がっつり和食だなっ。あ、食器出すよ!」
「あぁ、頼むよ」
味噌汁を温め始めたアイツを見て俺はハッと立ち上がる、休みの日はどうにも弛んじまうなぁ。
飯の茶碗とどんぶり、味噌汁の碗とベーコンエッグの平皿を2つずつ棚から取って持って行く。
「あ、飯どんくらい要る?」
「いつも通りで」
「あいよっ」
アイツのいつも通りは茶碗一杯、俺は朝からどんぶりで行っちゃうけど。
飯を俺がよそう間に冷蔵庫からほうれん草のおひたしが小鉢で出てきて、碗に味噌汁が注がれる。
俺がベンチみたいな木の長椅子に戻る頃には、平皿に乗ったベーコンエッグまでが食卓に揃った。
「いただきますっ」
「頂きます」
どうしても仕事の関係で中々揃って朝飯を食うのは難しい。だから朝からこうして二人で飯を食えるのが嬉しくて、俺はついついはしゃいじまう。
「お、これ美味い!」
「試しに作ってみたんだが、良かったよ」
和風ベーコンエッグ。何も掛けなくてもイケるし、飯にも合う。
味噌汁も昨日より風味が増してていい感じだ。美味い美味いと言う度にアイツも嬉しそうにするから、ついつい俺は勢いよく朝飯を掻き込んじまった。
「今日はどうするー?」
「特に予定は無いな」
洗い物は作った奴が免除されるから、俺はフライパンを洗いながら聞いた。
特に予定は無いのか、ならちょっと出かけるのもアリかもなぁ。
最初のコメントを投稿しよう!