休日

5/5
前へ
/5ページ
次へ
時計で時間を確認したら、大分終わりの時間が近かった。 「いやー、良い汗掻いたわぁ」 俺がリストバンドで額の汗を拭う傍らで、アイツは目元にタオルを乗せながら大の字になってくたばってる。 顔を真っ赤にして、肩で息をしながら。 ……計 算 通 り っ ! 思わずニヤリと上がっちまった口元を手で隠しながら、辺りを見回すけど。 どいつもこいつも自分らの事に夢中で、俺達の事なんて眼中に無い。 「はは、随分お疲れだな」 「ちょっとは……加減……しろ……!」 タオルを退かす余裕も無いらしく、腕を大きく広げたままのアイツに近付いて。 屈んでから最後にもう一回周りを確認して、軽く唇を重ねた。 「何をッッッ!?」 「ごめんなさいのチュー」 焦りまくって飛び起きたアイツの、さっきとは違った意味で更に真っ赤になった顔。 余裕ない感じが堪んねぇ……。 俺がしれっと口の端だけで笑いながら言うと、アイツはタオルで顔を隠すみたいにして俯いちまった。 あー……ダメだわ、本気で可愛い……。出来ればこのまま襲いたいくらい。 「大丈夫だよ、凉介。ちゃーんと見られてないか確認したからさァ?」 「そ、そういう問題じゃ無くてだな……歳とか場所とか考えろバカ!頭使え!」 普段は済ました顔で、如何にもなんでも出来ますって顔してるクセに。 モヤシだったり、料理が出来なかったり、夜はすぐ眠そうにしてたり、実は弱点だらけ。 そういうトコが可愛くて、守ってやりたくて、逃がしたくなくなる。 真っ赤になった顔を見られたくなくて、必死にタオルで顔隠してるトコとかも。さ? 「たまにゃー健全な運動も良いもんだろ?」 「敦、その、だな……不健全な方の運動も、その、するのか?」 少しタオルをずらして、上目遣いに聞いて来る涼介。 バカお前、40半ばの野郎がする仕草じゃねぇだろうが……。 「ハハッ!いつものホテル、寄ってくか?」 小さく頷く涼介。 ハッキリ言わして貰おう。 俺がホテルまで我慢出来そうにねぇよっっっ!!?
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加