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熱はない。多分その気配も、ない。
―――でも、熱が出てもおかしくないかも…
「おい椅子。座り心地わりーぞ」
「………」
そんな事言われても!
すぐに抱き締めてくれた先輩の熱。それに緩んだ心にホッとする暇なく先輩が始めた「お家デート」
まだ着いて行けない俺の事なんて何のその。さっさと何やら買って来た食材を冷蔵庫に閉まった先輩の手には飲み物と二つのグラス。色んなお菓子。
セッティングされるDVD。ポツンと突っ立ていれば、「さっさと座れ!」と促され思わず返事しようとしてまた呻く。
「…お前、変なとこ無器用だよな」
それを先輩に言われたくないッス!
睨み付けても知らん顔。仕方なく二人のお気に入りのソファの端に座れば「あ?違うだろ、真ん中座れ!しばくぞ!」
俺病人じゃなかったッスか!?
理不尽だ。流石に足は出ないようなので言われた通り真ん中へ。でもこれじゃ先輩が画面見にくくないか?そう思っていたら
「よし、それでいい」
「………」
メイデーメイデー。助けを請う。
「…あー、もう少し足開け。んー、こんくらいか」
愛しい人が俺を椅子だと勘違いしてる模様です。
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