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青くかすんだ空にはちぢれた灰色の雲がぽつりぽつりと浮いている。
ふわっと僕の頬を撫でる風は柔らかくて緩い。
いまだけ鍵の空いた屋上には、僕と生花と2人きりだ。
初めのほうこそドキドキもしたが、もう何回目か数えるのも面倒くさくなったいま、さすがにもう慣れた。
というかほぼ毎日と言ってもいいほど、むしろ日課になったこれに今更色好い理由をくっつけろという方が無理な話というもので。
『ねぇねぇ。このバンドさ、こんどのMスパに出るらしいよ』
「えーっ! 楽しみだー」
ケータイの画面に映し出されているその4人組を指差しながら教えてやると、彼女はもともとタレ目なそれをいっそう際立たせて、くしゃっと笑った。
それにつられて僕も笑うと、また「へへへ」と彼女が笑う。
生花がこのバンドを最近聴きはじめたことは前に話してくれたから知ってるし、彼女が話してくれたことなら忘れられなくなった。もはや重症だ。
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