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「ゆーきーのっ」
学校に着くと,真っ先に潤が私の方に寄ってきた。
「おはよう,潤」
「おはよ。雪野,今日誕生日だよね?」
そう言いながら,潤はなんの躊躇もなく私の席に座った。基本的に,立つのが私で座るのが潤。まあ私はそれでいいんだけど。
「うん。ありがと,覚えてくれたんだ」
「もちろん。自分の誕生日は忘れても雪野の誕生日は忘れない」
「何それ」
思わず笑いそうになる。
「いや,ホントに。おめでとう,雪野」
「ありがとう」
友達に祝ってもれえるのは素直に嬉しい。こんなのも今日ぐらいしかないわけだし。
「雪野,今日放課後暇?」
「え?うん。暇だけど」
「よし。それじゃあ遊ぼう。2人で」
「いいけど。潤,部活じゃないの?」
「大丈夫。サボるし」
堂々とサボり宣言する潤は凄いと思う。
「バスケか雪野かどっちか取れって言われたら,私は迷わず雪野を取る」
「ありがとう」
ツッコむべきなのか喜ぶべきなのか悩む。
「…座りたい?」
「え?いや別に,潤が座ってたいならそれでいいけど」
「そう。誕生日だし,譲ってあげてもいいかなって思ったけど。雪野がいいならいいや」
「まあ,元々私の席なんだけどね?」
「そうだっけ?」
潤はニヤッと笑ってそうとぼけた。確かに授業中意外は潤が座ってることの方が多い気がするけど。
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