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ジリリと鳴り響く目覚ましの音。
「ん…?うっせーなぁ!」
ビシッと時計をチョップする少年はまた、眠りにつく。
30分後……。
「にぃちゃあーーーーん!!!!」
「んっ‥ごふぁ!?」
「あっさでっすよぉーーー!!起きろ~~~!」
「そ、それよりもっ…早くどけ…ろ……」
勢い良く少年の上にジャンプして乗りかかる少女との会話。
少年は瀕死ながらもヨロヨロと手で少女をどかす。
「きゃあ!」
「まじで死ぬ!?だいたい今何時だと思って………」
少年がチョップ先ほどの時計を見て硬直する。
「ぎっ…ぎゃあああああああああああ!?もうこんな時間!?なんでもっと早く起こさねぇんだよ!美奈!!」
朝からうるさい少年の名は?佐々木龍。
短髪の黒髪に、中の下程度の顔、学力は下から数える方が早い文章を読めば一目瞭然である普通の高校生。
その横でゲラゲラと愉快そうに笑っているツインテールの小学生、?龍の妹である佐々木美奈。
「んじゃあ、そういうわけで美奈学校行ってきまーす!」
美奈は俺の部屋に来る前に用意していたであろう、赤いランドセルを背負うとさっさと一階へつづく階段をおりてゆく。
「やべ!俺も早くいかねぇと遅刻しちまう遅刻ぅ!!‥ってんなぁあああああああ!?」
俺は美奈も通った階段を盛大に踏み外し、ケツをぶつけながら落ちていく。
「いっつ~……!なんなんだよ!この漫画のようなお決まりなパターンは!?」
やっと一階にたどり着いたところで誰もいない家で嘆く。
そう、誰もいない。
普通は母親が起こしてくれるだろう声もない。龍たちの親は二人とも海外を回っているためになかなか帰ってこない。
「はぁ……」
自然と出てしまったため息。それはどこか寂しそうに聞こえた。
「よひ、ひょうもはんばるは!(よし、今日も頑張るか!)」
美奈が用意してくれた食パンをくわえると、俺は家を後にした。
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