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「お、おっふ…………いやシノンさん、今回ばかりはその、ボコられる理由がよくわからないというか………」 「………!…………!!………ッッッッ!!!!」 地面には無様に転がる赤いボロ雑巾。 それを呼吸すらおぼつかない真っ赤な顔で見下ろす水色のジャガー。 あの直後シノンは強引にハーレーを停車させ、そしてスパーダを座席から引きずり下ろし、紫のエフェクトフラッシュを撒き散らしながら殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って倒して踏んで踏んで踏んで踏んで踏んで踏んで踏んで踏んで踏んで踏んで踏んで踏んで踏んで踏んで踏んで踏んで踏んで踏んで踏みまくった。 親の仇とばかりに踏んだ。 フィールドなので当然ダメージ判定は伴い、その結果スパーダはそのHPを警告(イエロー)ゾーンまで削り取られた。 ついでにシノンの格闘スキルポイントがちょっと上昇した。 しかし当のシノンはそれでもまだ怒りと羞恥が収まらず、まだワナワナと拳を震わせている。 「だ、だってよ……そっちからいきなりグイグイきて、その二つのロマンを背中に」 「言・う・なっ!!」 「あべしっ!?」 ドグシャッ。 スパーダのHPが危険(レッド)ゾーンに突入した。 さすがの彼も慌てて立ち上がり、注射器型の回復アイテムを取り出し首筋に当てた。 軽い噴出音。 回復を示す赤のエフェクトフラッシュがその身体を包み、HPが回復していく。 しかしこの世界(ゲーム)には一瞬で全回復というアイテムはない。 スパーダが使った物は最上級の回復アイテムだが、それでもHPが満タンになるまでちょっとかかるだろう。 「く、く………よ、よくもよくも………」 「ウェイウェイ、だから俺なんもしてない。つかこの状況どっちかっつやー被害者は俺ちょっヘカート向けんな!!」 ラストほとんど悲鳴のような感じで叫んだスパーダ。 しかしシノンも完全に自業自得である事に自覚はあるらしく、しばらくぷるぷるした後大股でハーレーに歩み寄り、その座席にまたがった。 「発進させて」 「へ」 「早くマシンを走らせて!!さっさと忘れさせて!!」 「イェッサー。んじゃまた掴まれ………って、いやシノンさん、だからそのヤジロベーは無理あるって。百パー落ちるって」 妥協案としてスパーダの肩を掴むシノン。 ちなみに身の危険を感じてか、彼が今後この事件をネタに彼女をイジる事はなかった。
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