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考え出すと不安になってきたので、ムリヤリ思考を打ち切る。
小さくはない。はず。
(……………)
そういえば、彼があんな事を言っていた。
あんな時にあのあん畜生が言ったあんな事を今思い出してしまうのは腹立たしい事この上ないが、しかし実際それはどんな感じなんだろう。
「…………………」
「え?シノのんどうしtうわひゃあ!?」
百聞は一見にしかず、という事で、彼いわく『男のロマン』とやらを体感してみた。
「うーん……柔らかさは基本皆同じとして、サイズはこの位がいいのかな?基準がないから……」
「ちょっ、シノのん!?そんなモミモミするならこっちも負けないよ!?それっ!!」
「ひゃあっ!?ちょ、アスナ何を!?」
「シノのんが先にやってきたんでしょ!!このこの!!」
「ひゃん!!くっ、このおっ!!」
「あっ、ちょ、そこは!?―――
………………
………
……
「何だか騒がしいわね」
リビングでコーヒーを飲んでいた明日菜の母、結城京子は、浴室のある方向を見て眉をひそめた。
何やらよくわからないが、友達とはしゃいでいるのはわかる。
「………」
考えてみれば、ここ数年あの子がああやって子供のようにはしゃぐ声を聞いた事がなかった。
いや……はしゃがなくなったのだ。
普通に成長したのだと思っていた。
その子が今、本当に久し振りに大声で騒いでいる。
まるで―――全てのしがらみから、解き放たれたかのように。
「………………、」
京子はゆっくりと瞼を閉じると、少し冷めたコーヒーを再び口に運んだ。
「ぜー、はー、の、のぼせちゃったかな……?」
「ゆ、ゆでダコの気分……」
辛うじて脱衣場まで這い出てきた詩乃と明日菜は、ぐでーっと床に溶けていた。
結局、仮にアニメで映像化されたら不自然な湯気や不自然な光が乱舞する事間違いナシのあの乱闘は、あの後十分近く続いた。
風呂場でそんな事をすればどうなるかなんて、もう見ての通りである。
「み、水……水浴びよう、アスナ。これはいけない」
「う、うん……でも身体がぁぁ……」
お互いに寄りかかるようにして何とか立ち上がり、風呂場に戻ってシャワーの冷水のコックを捻る。
そして降り注ぐ、救いの水。
「「きゃーーーーーーーっ!!」」
体温との差が激しすぎる温度をいきなり身に浴びて甲高い悲鳴を上げる二人だが、そこから逃げようとはしなかった。
しばらく浴びているとゆっくりと体温が下がっていき、何とか自力で活動できるようになった。
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