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ねぇ、君はこの物語をどうして読んでくれたんだい?
…ごめん、唐突に失礼な事を言ったかな
この物語は、俺と、彼女の…残酷で意地悪く、醜悪だけど…とても大事な記憶なんだ
酷く無機質で、無色なつまらない世界の中で唯一無二の俺の記憶
……なんて、いきなり君にそんな事を言っても分からないよね
実際に俺だって、何でこんな事を口走っているのか分からないよ
突然だけどさ、聞いてもいいかな
君は、何を望んで生きる?
………
ごめん、聞き方を変えようか
どうして生きようと思っている?
家族を安心させる為?
それとも、友達と遊んだり好きな人と一緒にいるため?
平和な場所で、平和に育てられてきた人達なら、そんな軽いことを言うんだろうね
君はどう?
俺の場合は、彼女を守るために生きようと思った
何があったって、守る
たとえそれで自分の命が散ったとしても、受け入れられる
その位の覚悟はあった
でも…そうやって口で言うのは簡単なんだよ
ほら、よく言うだろう?
口先だけで行動が伴わないって
俺はそれを嫌と言うほど、実感させられたよ
あぁ、俺はなんて無力で不甲斐ないのか、と
……おっと、長く話しすぎたね
まぁ、とりあえずは僕の記憶を見てくれて有り難う
これを見終わったときに、君の反応とか気持ちはおおかた予想もつくけど…
何を感じ、何を望むのかは君次第だから
え、俺は誰かだって?
俺の名前は…本当の名前は、アレン
今となっては、俺の本当の名前を知っているのは君だけだな
もし良かったら、この名前を覚えておいてくれないか
この愚かで、醜くて…不甲斐ない一人の男の名前を
…おっと、そろそろ行かなくてはならない
今度こそ本当におしまいだよ
それじゃあ、またね
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