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「お父さん!!
一緒に釣りに行こうよ!!」
燦々と降り注ぐ暖かい光の下で、幼い声が親を呼ぶ
「お!
いいねぇ、どっちが沢山釣れるか勝負だ!!」
親もまた、幼い声に答えた
幼い声の主は、アレン
この時、七歳
親の名前は、タリス
二人が住むのは、ドラン国の端の小さな村
豊かな自然に溢れた、穏やかな国
彼等は決して裕福ではなかったが、それでも幸せに暮らしていた
「お父さん!!見て見て!!
僕一杯釣ったよ!!」
「おう!!すげぇな!!
俺も負けてられないな!!」
「んふふ~」
空もほんのりと茜色に染まり、村人たちは家路につく
この親子も例外ではなく、村近くに流れる川での釣りをやめ、帰り支度を始める
「ねぇお父さん、今日の夕御飯なぁに?」
「これだけ魚が釣れたからな…魚料理しかないだろ~」
「えー、こんなに?」
「はい文句言ったから俺の肩揉み百回」
「はぷっ!!」
釣り道具を片付けながら、アレンはタリスに訊ねた
魚の入った壺を覗き込みながらタリスは答えるが、それがアレンには気に入らなかったらしく、顔をしかめる
その様子を見たタリスはアレンにペナルティを科した
結構なペナルティーは、アレンにとって効果覿面らしく彼は急いで口を覆った
そんな息子を見て、父親は笑う
いつもの光景だった
アレンは、この時間が大好きだった
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