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アレンとタリスは、黙ってノアの言葉を聞いていた
「以上が、私があの場所に倒れていたか、私が何者なのかについての返答です」
話し終わったノアは、小さな溜め息を一つついた
「え……何ですか?」
俯いていれば唐突に頭をぐしゃりと撫でられ、手を強く握られ、ノアは動揺した
「お前がどうしてあの場所で倒れていたのかは分かったよ
話してくれてありがとな」
「いえ、別にそんな…」
「ノア、これからは僕達と暮らそう!!
ひもじい思いもしなくていいし、痛いことだって無いよ!!」
「気持ちは嬉しいけど、そこまで甘える訳にはいかないです」
「大丈夫だよ、お父さんだって歓迎してくれるよ
ね!お父さん」
「あぁ、勿論だ
家族だって思ってくれても構わないぞ」
アレンとタリスの熱烈な歓迎にはじめは断っていたノアだが、遂に折れた
「それじゃあ…お言葉に甘えて、ここに住まわせていただきます
ですが、家族というのは…」
「ええー、なんで?」
不満そうに頬を膨らませるアレンにノアは答えた
「あ…決して嫌だとかそういう意味じゃなくて…寧ろ凄く嬉しかったです、家族って言ってもらえて
だけど私の本当の家族はあの母一人
もし、あなた方を家族と思ってしまえば私はきっと母のことを忘れてしまう
ここは居心地が良すぎて」
「そっか…」
渋々だが、アレンは納得したようだ
「ノアがそういうのなら、俺達は強制はしないさ」
「はい、ありがとうございます」
タリスも納得してくれた
「まぁ、お前さんがそう思わなくても、俺達は勝手に家族の一員とみなすからな!」
「…!!
ありがとう、ございます…」
タリスの言葉
それにはノアが、生まれてから一度も感じたことの無い温かさを帯びていた
「それじゃ!!
今日はもう遅いから、明日に備えて寝るぞお!!」
「はーい!!」
「…はい」
こうして、一同は眠りにつく
今まで床や地面で眠っていたノアはその日、初めてベッドの柔らかさとぬくみを知った
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