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先に来た私の後から室長が追って来て、暗いバスルームで立ち尽くす私の横から長い腕を伸ばして電気を点けた。
「どうした?疲れたのか?」
答える気にもなれなくて、私は小さく首を振った。
「…タオルと着替えはここから適当なのを選んでくれ」
室長は脱衣所のチェストの引き出しを開けかけ、その上にタオルを出してくれた。
「…ありがとうございます」
私が返事をすると室長は出て行った。
私は大きくため息をついて、洗面所の鏡に自分を映した。
確かに…
…子供っぽい。
お嬢様扱いで、子ども扱い。
彼氏の家に来たって、
帰って来た直後以外はまったくそんな雰囲気にならない。
玄関でのキスは…
やっぱり酔った勢いだったのかもしれない。
こんなことなら
さっき
アイスを…
溶かしたままにしておけばよかったかもしれない。
後悔しても…
…仕方ないけど。
私はそう思いながらブラウスのボタンに手を掛けた。
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