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彼女の泣き顔が俺を見つめる。
さっきまでの我慢は何だったんだ?
「…こんな顔、させたかったんじゃない」
俺は彼女の隣に座って、彼女のカラダの向きを変える。
濡れた睫毛(マツゲ)と一緒に瞳の下をゆっくり撫でた。
「…大切に思ってただけなんだ」
一度止まった涙がポロリと零れ落ちた。
「…大切に思ってるなら…」
彼女にその先を言わすわけにはいかない。
俺は唇にそっと触れて言った。
「…欲しいよ。すごく」
そして、強張った唇に口づけを落とす。
彼女は言った。
か弱い声に意志を込めて。
「…あげる…私の全部…」
俺は彼女をゆっくりとベッドに倒した。
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