ネム

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 上空から見下ろすと、月光に照らされた猫の目がありました。  「にゃんこちゃーん、困った人達はいないかにゃあ?」  すると、そこら中から、にゃあー、と猫なで声が聞こえてきます。  「ふぅん……駅の飲食街裏でぇ……」  案外、身近な所に困った人間はいるものですね。  なんて、当たり前過ぎて笑えてしまいます。私達が平穏なハイスクールライフを送っている間に、どこかでは誰かが惨たらしく殺されているかもしれない。夢半ばで殺された人達がほとんどでしょう。  「だから、私はその人達以上の、他の人の夢を繋ぐ」  数分飛んで、目的地の駅が見えてきました。  魔女であるからこそーーではないのですが、私は暗闇でも目が利いている方でした。だから、夜に黒猫が見えた訳です。  暗闇の中で両目はまるで輝く月のようにーー  「……っと、おおぅ。見えてきましたよ」  そう。見えてきました。  暗い建物の裏に倒れているーー一人の女子高生の姿が。  制服を剥がされて、露出した肌には痛々しい痣がありました。口の端からは血が出ていました。  虚ろな瞳からは絶えず涙を流していました。
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