ネム

9/28
前へ
/100ページ
次へ
 昔なら絶対に出来なかった化学の力。きっと魔法と呼ばれていても、不思議ではなかったでしょう。  そして、その色を好む私が魔女だと言うのだから、おかしな話です。  シアンブルーのマントを翻し、私は夜の公園に立っていました。  目的はただ一つ。  人の願いを叶えるため。  「……寒いなぁ」  鼻水が垂れてきました。流石に12月でこの格好ーー肌をそこそこ露出したロリータに、シアンブルーのマントは無謀でしたか……。  木製の杖で、どうやっても寒さは凌げませんし。  「……やっぱり、来ないかなぁ……?」  ならば、それでも良い。  「……こちらから探して回れば良いのですから♪」  多分、私は今、凄く気持ちの悪い笑みを浮かべているのでしょう。それで良い。私は魔女、人間とはどこか違う。化け物なのですから。  気持ち悪いくらいがちょうど良い、とか思っている自分が何だか気持ち悪かったり、と適当なことを独りごちながら、私は夜空を飛行するのでした。  魔女が箒に跨がって空を飛ぶ、と言うのは有名な話ですが、それと同じくらい黒猫や鴉を使い魔として扱うのも有名な話です。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加