■珪孔雀石

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会長視点  会計の木附が留学からやっと戻って来た。あいつがいない間は会計の書類は生徒会全員で分担してやっていたから正直なところ助かったというのが本音だ。  俺個人としては木附琥珀という人間はいけ好かない。  木附琥珀という人物は中等部のころから一緒のクラスで生徒会でも一緒だが、本性というものを表に出さず、いつも上辺だけ。  木附一人だけのところを偶然見かけたとき、その整った顔に何の表情も乗っておらず、思わずぎょっとしたが更にその後に目が合ってしまい慌ててその場を後にした。  それから木附は俺の前で取り繕うのを止めた。  常の彼は皆に気さくに話しかけ、笑顔で紳士的に対応する優等生で、親衛隊の言葉を借りるなら王子然とした人物だ。  けれど、無表情な彼を見てしまえば嫌でもそれが演技だと気付かされるに違いない。  だってそこにある瞳はひどく冷徹で現実味があった。模範生であるときのような胡散臭さはなく、ただ触れるのも躊躇われるようなオーラがある。
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