28人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
祈りを捧げ、車を停めている道へと戻る僕はそこで初めて気が付いた。
周りには、沢山の車が停まっているのだが、
それらは乗用車だけでは無く、タクシーやマイクロバスが停まっていたんだ。
そして、そのマイクロバスに乗ってきたであろう団体さんが居た。
その10人程の団体の中心には50代の男性が居て、囲む人達に話をしているのが聞こえてきた。
何となしに耳を傾けてみると……
「ここには、沢山の家があって……」
(ああ。あの人は震災の話をしている)僕はそう思い、ジッとその光景を見つめていた。
と、その様子を見た夏月さんが、僕にそっと耳打ちをする。
「あの方は、語り部さんだね」
(語り部さん、か。)
語り部さんを囲む方達の表情は真剣そのもので。
『伝えてください』
僕は、南三陸で見た写真のメッセージを思い出した。
最初のコメントを投稿しよう!