神の大樹の物語🌱

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深く濃い青の芯の中に小さな光の粒が散らばり瞬いて、星空か宇宙のようで、桃千代それに目を奪われる。 一瞬、光の粒が一筋流れたような気がして桃千代はまじまじとモニュメントを覗き込むが気のせいだったのかと首を傾げた。 近づく者の気配に耳が動き、振り返ると男が桃千代に歩みよっていた。 「星晶石に目を取られるのも良いがこの広場の本当の見所は調和だぞ。ほら、素晴らしい景色だろう?」 語りかけながら男が大袈裟に手を広げると、凱旋門広場の様子がゆっくりとしたカメラワークで映し出された。 モニュメントの周囲では街の子どもたちが遊んでいる。広場を半円に囲む石や煉瓦造りの建物を商人や旅人、住人と様々な種族が行き交う。立ち並ぶ大きな街路樹は長い時を感じさせ、ちらりと城を遠巻きに視界は手を広げた男へと戻った。 種族はエルファニル。種族の特徴は尖った耳と面長の整った顔立ちにスラッとした長身。エルオラン族は弓や槍が得意で、エルフォロン族は魔術や音楽に長けている。 ここは都市文化を築いたエルオラン族が主とするリオンダルク王国。その中心の都市ハーニトンであり、男の姿はこの国の騎士のものであった。 種族の身長差により、男の胸下辺りでピクピクと動く桃千代の耳が画面ギリギリに見える。 男の台詞は続いた。 「この美しさは歴史や伝統が築いた。しかし今や国の発展は冒険者にかかっている。冒険者を気嫌う古い慣習の者もいるがこの国のことを嫌いにならないでくれよ。」 桃千代は顔を上げる。兜のフェイスガードから覗く目は爽やかなブルー、口角は人懐っこい笑みを作っている。 気位が高く他種族を見下すというイメージが付きまとうエルファニルも様々なようだ。 「ふむ、自慢が過ぎては嫌われてしまうな。それでは、良い冒険を!」 くるりと背を向けた男は右手を軽く上げ颯爽と去っていき、桃千代はその背中を見送る。 ピコン♪ 弾む音に押し出され、これまでの会話が表示されたログウィンドウに黄色の文字。 [衛兵の指令書:南門門番ローデリに会いに行け]
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