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ふぅ……と、一息つく。すると横で盛大に水を撥ねさせているやつがいた。さては腕白なクソガキだな。風呂はプールじゃないんだ。それぐらいちゃんとしつけやがれ、と途方もない怒りを覚えたその瞬間、
「だっはっはぁ! 気持ちいいぜよぉ――――ッ!!」
俺の顔面に湯を浴びせながら、水中から人が躍り出た。靄がかかっている……かかっているが、その陰影と声が俺にただひとつの解を主張していた。
靄から湯を揺らしながら影が近づいてくる。――だめだ、それ以上は……!
「あ」
「……あ」
互いにぽかん、と見つめ合う俺と駿河。と、その背後から、次々と現れ出てくるオープンな女体たち。
「き、貴様……っ!!」
スレンダー極まれる出辺が、せっかく相手に倒されてPKを獲れたと思ったのにレッドカードを突きつけられたストライカーのような顔で、
「なぜおまえがここにいるっ!!」
必死に体を隠しながら叫んでいる。
そんなことを訊かれても俺にもわからん。
「へへへ、変態だ! おまわりっ、早くこいつらを捕まえやがれ!!」
「やばいじゃん、ここまでとは思わないじゃん!?」
「ありえないし、でも男ってこういう生き物かもしれないし……」
ギャル三人衆もべつに見やしないのに(と言いつつ見ているが)必死に湯船の中へ身を隠す。と、
「いやぁ~~、ここは〝混浴〟だからねぇ~~、くわばらくわばら」
とか言いつつ、エプロンみたいな湯浴み着をちゃっかり纏ったおばさまが聞こえよがしにのたまい悠々と過ぎ去っていく。
「はははっ!」
性懲りもない笑顔で現れたのは勿論この男。
「眼鏡王子さままでっ!?」
裏木たちがさらに後退する。
「〝改修工事〟の余波かな? 大事な看板が撤去されていたみたいだね。まあ、地元民には周知の事実だったようだけど……」
おい、その顔はさてはおまえ知っていたな……!?
「ハプニングエロ到来っ!!」
遠くからブヒブヒ言う声が聞こえてくる。ついでに連写の音も。おい、それはさすがにまずいだろ。
「てめぇら、なにしとんじゃぁぁぁぁぁいっ!!」
湯から跳び出して申戸たちを追討しにいく駿河。ああ、よかった。おまえが一番なにしでかすかわからなかったからな。そっちをターゲットにしてくれたならば幸いだ。俺がすっかり安堵していると、
「私の裸を見た罪は重いわよ……」
頭頂部を強靭な握力でホールドされる。震えながら仰のくと、
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