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肉を切る
骨を断つ
命を頂く
「いただきます」
俺はくだらないくらい普通の17歳で、くだらないくらい普通の高校に通い、くだらないくらい普通の悩みを同じような奴らと話して過ごしている
例えば、俺の両手の中に夜店で売られたヒヨコが収まっている
手のひらにはガキんちょ特有の高い体温と、俺よりも遅く生まれて早く死ぬように設計された鼓動が感じられる
同時にふわふわとした羽毛が手のひらをくすぐり、頼りない足の爪と力のない嘴の固さも感じる
「知ってるか?昔の日本では可愛いと言えば可哀想って意味だったんだぜ?」
ほんの少しで良い
手のひらの中の存在をもう少しだけ内側まで感じたいと思えば良いだけだ
「あはは。汚しちまったな」
昔の日本では愛しいと言えば悲しいって意味だったらしい
「手ぇ、洗っとこ」
手の中でヒヨコだったモノはまだ温かく、ふわふわした羽毛の代わりにねばねばした赤い液体がまとわりついている
俺はそれをゴミ箱に捨てて手を洗う
唐揚げを作る主婦と何が違う?
「ごちそうさまでした」
命は尊い
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