第10章 沙漠の旅にて

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しかし、誰が連れて来てくれたのは、わからなかった。 でも、渇きがなくなっていた。 唇が水の雫で一杯になっていて、服も少し濡れていた。 湖の方へ、這いづっていくと、後方から、誰かが来るのが伺えた。 それをも御構い無しに手で水を掬って、一杯分飲んで、 リュックの中の水筒に水を入れた。 序でに顔もかけて左右に顔を振っていたけども… さすがに、後方に目線を感じたので、 後を振り返ると、ピエロのおじさんが少し顔をムッとさせていた。 「気が付いたのかね…それにしても」 と言って怒りそうだったので 「ごめんなさい」 と謝った。 「……ま…いいが。 命を大切にしないといけないのは、言ったのに… もう私と一緒についてきてくれないか。 一人で行くのは、余りにも危険すぎる…良いか」 と言っていた。 私は、少し黙って縦に仕方なく頷いた。 「よしっもうオアシスだから、南西の方に1k程、 歩けばセントバード市につくだろう」 ともはや、ピエロではなくて、只の頼りにできるおじさんだった。 だから、私は、敢えておじさんと言い続けた。 「おじさん…私って何の病気なんだろう…」 と重要な所を聞いてみた。 「いつごろに発症した病気なんだね?」 と偉そうに胸をやけに張っていた。 「三才に起きて、突然死だったみたいなの… だから…私…病を知らないまま、一度、旅立っているの… それが聞きたいことなのに」 と言って悩んだが、 「それは、親にしかわからない事だよ。 病名を知るのは、医師から親に伝える事だからね、 それに、私は医師ではないから… 只、言える事とすれば、心臓病だったのは、間違いないだろう。 詳しい事は、残念だが、お母さんに聞いてみると良い」 と手振りをみせていた。
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