第1章

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くす、と小さく笑うのが聞こえた。 「ちょっとじっとしててね。すぐ終わるから」 「はい」  目を閉じれば馨先生の手が俺の首元へ伸びてきた。そして首輪をいじると手を放す気配がした。 「俺から珠樹くんにプレゼントだよ。それにしても……無防備だね」  そう耳元で囁かれ、次いで唇に何かが触れる感触がした。 「ん……?っうわっ!」  目を開けると馨先生の顔が思ったよりも近くにあったために驚いて声を上げてしまったのだが、唇に当たったものの正体は馨先生の指だった。  馨先生は俺の反応を見てくすくすと笑っていた。  そこへ入ってきたのは廊下で待ってくれていた雅先輩と、何故か香先輩だった。  俺があげた声を聞いて駆け込んできたようだ。 「九条っ?!」 「何かされたのかっ?」  雅先輩がソファに座る俺の前にしゃがみ込んだ。 「だ、大丈夫です。ただちょっとびっくりしちゃって……」  何でもないんですと笑ったが、雅先輩はまだ不安そうだ。 「あははっ珠樹くんはからかい甲斐があって本当にかわいいね」 「「「先生!」」」  1人くすくすと笑う馨先生の言葉に、三人の声が重なって返った。
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