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ここは〈陽(ひ)の寮〉にある俺の部屋。
いつもと同じように目が覚めて、いつもと同じような日々が始まる……はずだった。
はたして目を覚ました俺は、首元に違和感を感じた。
「ん……?なんだこれ……」
首に手をやると触れる物がある。その感触に俺の眠気は吹き飛んだ。
ばっとベッドから飛び出して、洗面所の鏡の前に立ち、自分の姿を映す。
「なっ?」
鏡に映った自分の姿は、一か所を除いてはいつもと何ら変わりはなかったのだが、違和感を感じた首元だけは違っていた。
「く、首輪……?」
1人呆然としていれば、部屋の扉をノックする音が聞こえてきた。
「おい珠樹(たまき)~、起きてるか~?」
その声の主は、幼馴染みの将紀(まさき)だった。
多少ほっとして扉を開ける。
「おはよっ珠樹。遊ぼうぜ?」
「あ、あのさっ」
「んーどした?」
俺は思い切って将紀に問いかけた。
「コレさ、目ぇ覚めたらはまってたんだけどさ、誰がやったとか……知らないか?」
「あーそれ?つけたのは誰か知らないけどさ」
「うん」
「似合ってんじゃん?」
「はぁ?」
ったく、他人事だと思って……。
ダメだこれ……と本気でため息を吐いてしまった。
なんで幼馴染みに、笑顔で似合ってるとか言われなくてはいけないのか……。
「もういいや。普通に外すし」
「何言ってんだ、外すなよ」
例の物を外すために、将紀の方、つまりは扉の方に背を向けていた俺の背後から声が聞こえ手を掴まれる。
聞こえた声は将紀のものではなかった。つまりは別の人間の声。
しかしその声の正体は、振り返らずとも分かるもので。
「突然人の部屋に入ってくるなんて、非常識だと思いますよ?香(きょう)先輩?っていうか普通外しますよ」
ため息を吐きつつ言えば、彼らはいかにも不服そうに言った。
「えー、オレも外さないで欲しいなー」
「ぼくもそう思いまーす♪」
「え……?」
なんでだ……?どうしてこう、人が来てほしくない時に限って、無駄に人が集まるんだ?!
新たな登場人物は、なぜか俺に付きまとう後輩で。
また面倒なのが来た……、と一人沈んでみるが、そんなことで今のこの状況が、良い方向に打破される、ということは無いわけで。
「なんだ、後輩。気が合うな」
「ですね~」
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