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彼女が話してくれた…
一番最初、子供の頃から病気ばかりで学校に通えなかった事。
小学生で首に腫瘍が出来、手術をした事。
大人になる直前で扁桃に腫瘍が見つかり手術した事
頑張って働きながら仕事をして看護師になった事
でも仕事にもやっと慣れた3年目初期の子宮頸がんで病院を休職した事…
がん治療を終えて仕事復帰したら移動でとても忙しい病棟になって
ストレスと人間関係、それから心房細動を発症した事…
そして迎えた30代で今度は拡張型心筋症をも発症した事…
そして二度目の休職は認められず退職した事…
僕は正直、「嘘だよ~」と思った。彼女は僕にお金を貢がせる為に嘘を言っていると…。だって可笑しいでしょ?こんな沢山病気して、何で風俗?まともに仕事出来ないんじゃ無いのかって…。色々な福祉を利用すれば良いじゃんって…僕は好きな気持ちが一気に冷めた…
彼女に聞いた「てか、なんでそんな親に頼らないの?」
「信じられないんだよね…まあ無理も無いよね…。これ…。」
さきが出したのは「お薬手帳」だった…
僕は正直申し訳ないけどどうせ貢がせる為のこれも秘策なんだろって思った…
「最初から見て良いよ…、私が本当に嘘を言ってるか分かるから、それみてみさきが判断して…今日一晩一緒に居たいか…」
僕は少し分厚いそのお薬手帳を最初から見た…
最初の方はだいぶん黄ばんでいた
1991年 3月○日
初期投与抗ガン剤治療薬
中林さきには暫く、歯科治療は中止 ○○総合病院耳鼻咽喉科部長鳥居
万が一治療を要する時はご一報下さい。
僕は、彼女を傷付けた…
それから僕は今まで彼女が処方された大量の薬を全て読んだ…
食べてはいいけない物、飲んではいけない市販薬色々書いてあった…
読み終わって、彼女を見たら彼女は下を向いたまま黙っていた…
「ごめん…」僕は謝る事しか出来なかった…
「謝らないで、これで分かったでしょ、さっ帰ろう、但しこれ見た事は他言無用だよ」彼女は頑張って笑顔だった…
彼女が立ち上がった時、僕は無意識に彼女の手を掴みとっていた…
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