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彼女が言った
「で、何で連絡くれなかったの…」
「あっ、…ごめん、言って無かったけど…俺運送会社の一応管理職で…」
「だから、あれ…」
彼女の目線の先には僕の作業服があった…
「うちの父親も同じ水色の作業服着てた、うちは大型トラック乗ってたけどね…」
そう言って彼女の口が止まった。
「ねぇ、このロゴ!」
「ん?、あぁうちの会社のロゴ」
彼女がおもむろに僕に詰め寄った…
「ねぇ!会社の名前教えて!」
「えっ…???」
「良いから、早く!」
彼女の凄い剣幕に負けてと言うよりびっくりして答えた…
「◯◯物流だけど…何で?」
「嘘!嘘!嘘!」
彼女が突然言い出した…。
「離婚した、私の父親の会社…」
「はぁ?!」
「うちの父親◯◯物流の◯◯支店で長距離の運転手やってた…」
明らかに彼女が嘘を言ってよ様には見えなかった…と言うより絶対本当だと思ったのは彼女の次の言葉からだった…
「◯◯支店って近くにセメント会社が有って、変電所が斜め前でうちの父親の当時の上司の名前古見さんって言ってね…」
僕が彼女の口を遮った…
「嘘だよ!」
「えっ…何で?、てか何が?」
彼女がびっくりした様だったけど、僕は続けた…
「僕の今の上司が約20年前にその支店にいたらしくて、僕も今年移動で今の上司の下に就いたんだけど…その上司が僕の歓迎会で◯◯支店の古見は最悪だったって…」
「えぇっ!!」
僕は本当に運命だと思った…
僕の会社は超一流でテレビにも出る有名な会社だった。
僕はそこの物流グループの一応管理職だった…そしてもし彼女のお父さんがまだトラックに乗っていたら、僕は彼女のお父さんの上司だった…年が違ったので彼女のお父さんを見る事は無かった。
僕は彼女に連絡出来なかった理由と、僕の仕事の内容を話した…
彼女は頷いて一言言った
「私その仕事なら分かるよ、春夏秋冬の二ヶ月前が忙しいし、年末は絶対休みないでしょ?」
「うん、そう…」
「良く休み取れたね?」
「休みじゃないけど、昨日からほぼ24時間働いてやっと明日二ヶ月振りの休みで、だからさきを呼んだの…」
こうして僕等のすれ違いは幕を閉じ、その日は彼女も果物を食べて薬も飲んで、2人ともシャワーを浴び抱き合って寝て、朝彼女がお店を辞めたら付き合うはずだった…
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