第1章 出会い

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彼女は首にしがみついたまま僕に言った。 「ごっ、ごめんなさい少しこのままで、私、大きな音嫌いなの…」 そう言う彼女の本当の理由は僕は後に知る事になるが、この時の僕にはそれが可愛いく思え、営業でも良いやと思い「良いよ、大丈夫少しこのままでいようね」と我ながら臭いセリフを吐いていたが、頭の中では決まった…そう思っていた。 しばらくしても音が鳴り止まないのでさなが言った。 「みさき、窓の外観て来てくれない…?」 不安そうな彼女の言葉を取り除いてあげたくて、「良いよ」僕はホテルの雨戸を開けた。 ヒュードーン、パラパラ 花火だった。 「さな、観てご覧よ花火だよ、花火」 「嘘、だって今10月だよ…」 彼女を呼び寄せ、窓際に立たせ僕は彼女の後ろから彼女を抱きしめた… 「綺麗…でも儚いね…」彼女が呟いた、僕も同じ事を思っていた。 「みさき、今年花火観た?」 「いや、仕事忙しくて今年どころか、数年観てないかも」 「嘘~だ彼女とかと観てるでしょ、気使わなくて良いよ~」 僕は慌てて「いや、本当だって、俺彼女いないもん…もてないし…」本心だった、でも彼女は笑って「はいはい、風俗で遊ぶ人って大体そう言うもんね~」と僕は慌てて、「そう言うさなだって、本当の所は彼氏居るんじゃないの?」彼女の左薬指を見たとき、指輪はしてなかった、人妻では無いと僕はちゃっかり確認していた 「さあどうだろう?」 話をはぐらかす様に、さなが僕にキスをした… 花火が終わって少したった時だった 「ピーピーピーピー」僕の携帯が鳴った… 僕は慌て電話に出た、「はい、相葉です。」 「相葉ちゃんお疲れー」上司だった。 「相葉ちゃんごめんねー、俺余計な事を…」申し訳なさそうな上司に「あっ、いえ大丈夫です、所長又明日ゆっくり話しませんか?」 早く電話を切ってさなとの時間を楽しみたかった。 「うん、ごめんね相葉ちゃん、まあ今日やけ酒しても明日だけは大目に見るから、じゃあ又明日」 「はい、お疲れ様っす又明日」 「何かかっこいいね、みさき」 後ろを振り返るとさなが僕に微笑みながら言った。 「上司から、今日俺上司の代わりにちょっと用事してたから」 嘘を付いた、でも彼女は「忙しいんだね」と笑顔で言った。
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