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予想とは違った反応に、私は一時的に時が止まった様に、動かなくなるが、桜は止まらない。
「先生の事、ずっと前から好きでした! その、こんな状況だからこそ、伝えたいと思って、ここに来ました!」
キャー―言っちゃった、みたいな反応を見せる桜に、私は至極真っ当な事を言う。
「私は女だぞ?」
「はい知ってますよ?」
「え、イヤ、だから、私は女で桜も女だろ? あぁそうか、私と友達になりたいのか、そうかそうか」
「違いますよ。私は先生と付き合いたいと思ってますよ? 男じゃなくても、ううん、男なんかに私の先生は渡さない! 私の先生に対する気持ちは、誰にも負けませんよ!」
可愛らしく拳を作る桜に、私は遠い目で見ていた。
あぁ、三年二組は問題児が多いと思っていたが、こんな伏兵がいたとは、黒田祥子、一生の不覚である。
まさかの事態に、私の脳はスパークするが、桜の暴走は止まらなかった。
「先生、私、恐いんです。だから、あの、その……一緒に寝ませんか?」
グハァ! これは、このシュチュエーションは、男なら泣いて歓喜するだろうが、私からしたら、獲物を狙う狩人に矢を向けられているようなものだ。
いかん、これはいかんぞ!!
私は咄嗟に言い訳をついた。
「あ、いやぁ、このベッドじゃ二人は無理だろ?」
「大丈夫です。私、小さいので」
「イヤでもなぁ? 狭くなると嫌だし」
「なら私を抱き枕にして寝て下さい」
私の言い訳に一歩も引かない桜、コヤツ出来る!?
とか現実逃避をしていると、桜が私の手を掴み、私をベッドに誘導するではないか。あぁ、私の純潔が(27歳の)散る……。
「さぁ観念して一緒に寝て下さい! 先生♪」
天使の様な笑みが、私には悪魔の笑みにしか見えない。あれ、おかしいな……。
なし崩し的に結局一緒に寝る事になった私、満面の笑みで私の胸に顔を埋める桜は、気持ち良さそうに寝息を立てる。
ついでに、私も案外疲れていたのか、桜が寝た後に、直ぐに眠りの世界に旅立った。
桜の抱き心地は、最高だったと言っておこう。
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