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「どうしたんだ桜、何か用か?」
「んぁっと、そうでした。この城から出るなら私も連れて行って下さいね? もし置いて行ったら地の果てまでも追い駆けて、怒りますからね?」
……何でわかったし。
「分かった。が、私に付いて行くと言うなら、ある程度覚悟はしていた方がいいぞ? 戦いは避けられないのだから」
「それなら大丈夫です。私はもう決心しました。この世界で生き残る為に」
決意した表情で言う桜に、私は心の中で関心する。
大人しそうな見た目と違って、意外に行動力や決断力が良い。それに、芯が強い。
ならもう行動しちゃうか。
「そうか、なら、今からこの城出るから」
「へ?」
「今から出るんだって、夜になっただろ? 城にいる兵士達の目を掻い潜っていくんだ。なに、安心しろ。この城にいる兵士達から見つからないで出られる方法はある」
いきなりの事に目を丸くさせる桜だが、私も待ってはいられない。机に置いておいた二つの刀を腰に刺し、桜にも自分の杖を持ってくる様に言い、数分もせずに桜が部屋に戻ってくる。
「よし、準備は出来たな。じゃああの窓から出るぞ」
「あの窓って、あそこのですか? 無理じゃないですか、ここ三階ですよ」
「あぁはいはい大丈夫ったら大丈夫なんだから、いいから来る」
さすがの桜も、三階からの飛び降りは怖いらしい。当たり前か。
嫌がる桜の身体をお姫様抱っこで持ち、窓を開ける。
「ホントに飛び降りる気ですか?」
「勿論、だが、嫌ならここに残ってもいいぞ?」
「それはありえない選択肢です。もうわかりました。ささっと飛び降りて下さい」
諦めた顔で言う桜に、私は思わず笑ってしまう。
冷たい風が髪を乱す中、私と桜は軽い言葉の交わし合いをし、桜の決心が決まった事で、私は窓から飛び降りる。
「~~~っ!!」
声にならない叫びを上げる桜と違い、私は至って平常運転。
何故なら、実はこの窓から一回飛び降りたからであったりする。あの時は桜と一緒で、そりゃもう全力で叫びましたよ、小声で。
危なげなく地面に着地した私は、抱っこしていた桜を降ろすと、へにゃへにゃと力なく地面に座ってしまう。
私はそれを見て、まぁ仕方ないかと思った。付いて来ただけでも根性あるよ。
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