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ふと目を覚ますと、名立今は見たこともない部屋に横たわっていた。
この世の中には明晰夢と呼ばれている「これは夢だ」とわかる夢が存在するらしいが、なんとなくそんなものとは違うような気がした。
少し落ち着いて立ち上がりあたりを見渡すと、自分を含む9人の少年少女が寝転んでいる。
どうやら自分が一番に目を覚ましたようだ。
よく見ると彼らは顔なじみばかりで少し驚くが、異常なほどの違和感を発しているのは何より彼らの服装だ。
いつもは、学校は違えど制服やら部活動のジャージやらをまとっているはずのメンバーが、何故か今日は全員が同じ白い無地の長袖Tシャツにスウェットのような素材のベージュのズボンを身に纏っている。
明らかになにかがおかしかった。
「なによ…ここ」
「ここどこだろう…」
「ん…わぁ!みんなどうしたの、そんな格好!!」
少し足元が騒がしくなったなと視線をさげると、ほとんど全員が目を覚ましたようで口々に様々なことを呟いている。
「あ、みんな起きたんだね。」
おはよう、なんて呑気に声をかけてみる。
というかここは一体どこなんだろう。
あれ、私ってもしかしたら自分で思っているよりもずっと楽天的な人間なのかもしれないなぁ、なんてやけに冷静な頭でふわふわと考えた。
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