【毒入りスープ】

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自分たちがいる部屋をぐるりと見回してみると、そこには真っ白に塗装された壁と、四つの扉、それから地下へと進む階段があることが分かる。 おそらく今いるこの部屋は円形に近いのだろう。 四つの扉の上にはそれぞれ「9」「0」「1」「8」という数字が書かれており、地下へ下る階段の上にも同様に「5」と書かれている。そしてこの部屋の中央にある古びた木製の長机の上には、真っ白い皿に入れられた赤い色のスープに銀製のスプーン、そして地図のようなもの(画像参照)と、メモ書きが施されたような、計二枚の紙切れが置かれていた。 「えっと…じゃあどうしようか。」 空色の髪を揺らしながら、神音レイが控えめに問いかける。 念のためにと全員に確認してみたことだが、誰もこの部屋に見覚えがあるという人はいなかった。 それに、これはまだ誰かが確認したわけでもないが、ただなんとなく、この空間には「出口」というものがないように感じていた。 「このスープとかどうする?」 「赤…キレイ…」 「それですよね、一番の問題は。」 火藤吉平、宇時筑夜美と御城翠がしげしげと見つめている赤い色のスープ。 この二人が言うように、この部屋にあるものの中で一番の怪しさを放っているのはそれだった。 「ねぇねぇ飲んでみようよそれ!」 「変なニオイとかもしないし、大丈夫じゃないかなっ」 今と、その友人でもある宇治白夜の突拍子もない申し出に、後輩であるレイと氷山稲は「まじですか!?」と口元をひくつかせる。 見るからにあやしいこのスープになにか有害なものが入っているかもしれないのに、そんなことを簡単に言ってしまってこの先大丈夫なのかと、天野美奈は人知れずため息を漏らすのだった。 ▽地図image=483999495.jpg
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