エピローグ

9/9
前へ
/9ページ
次へ
私は市原さんの唇にそっと自分を重ねた。 震えているのは… …私だけじゃない。 「…ずっと…ずっと…そばにいて…」 私を抱きしめた市原さんは もう一度私にキスをした。 唇を離した市原さんが空を見上げる。 「見ろよ稲森…」 私は彼の腕の中で市原さんと同じ方を見つめる。 「美澄…今夜は月が…綺麗だな」 私は何度も頷いた。 零れ落ちる涙は きっと月色(ツキイロ)。 涙に滲んで形を崩した白い月は 市原さんの優しさ そのものだった――――― Fin
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1502人が本棚に入れています
本棚に追加