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波は月の光を反射して、
海に銀色の織物を広げている。
…声を聞くのよ…
お母さんの言葉が私の中に静かに落ちる。
祐介の声…
祐介の…
目を閉じて
祐介の声を探す。
押し寄せる波は小さな小石を転がして
砂浜にそれを置いてゆく。
祐介が私に何かを伝えるとしたら
それはたった一つだろう。
聞こえてくる声に涙が溢れる。
真っ黒な海は
滲んで、ぼやけて
銀色になる。
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