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「本、読み終わったからさ、返しに来たんだ」  孝幸は結の向かいの席に座った。  彼女はまだ驚いている。  いつもはすぐ帰る彼が、  何気なく自分の側に座っている。 「真代くん……帰らないの?」 「なんで? せっかく話せるのに」  二年前と変わらない笑顔で言う孝幸に、  結はひどい事を言ってしまったと気付いてうつむいた。 「もう卒業間近だけど……  いるかなと思ったんだ、国風なら」  彼女の持つ本を指差して孝幸は笑った。
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