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景色が突然暗転する。
今まで真っ白だった世界が、急に真っ暗になる。
あまりに突然すぎて、驚くことすら間に合わない。
真っ白な世界の時とはまた違った恐怖。
今まで見えていた自分の体すら、見えないほどの真っ暗闇だ。
じっとりと冷や汗が出る感覚がある。
だが、実際には汗は出なかった。
あくまでも、感覚だけ。
それがなんとも言えず、気持ちを不快にさせる。
なにも見えない真っ暗な世界。
「生きることをやめてなお、死ぬことすら許されない」
真っ白な世界の時と同じ声が、今度は左のほうから聞こえる。
しかもそれは、ほんの耳元で聞こえたかのようにとても近く。
やはりびっくりはしても、心臓がバクバクすることはない。
死ぬことすら許されない・・・。
確かにそう聞こえた。
でも、私は死んだからこそここにいる。
だって、ここは天国・・。
そう思った。
ただ、さっきは真っ白な世界だったから天国だと思った。
でも、今は何も見えないほどの真っ暗な世界。
そして、さっきの考えを呼び起こす。
地獄の色にイメージは、黒だった。
じゃあやっぱりここは、地獄?
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