漆黒の蝶

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真っ暗な世界。 そして、どこにいて、どんな姿なのかもわからない声の主。 その声の主の言葉。 さっぱり意味がわからない。 私は、さっき声の聞こえた左のほうに向かって言ってみる。 「あの…許されないってどういうことですか?っていうか、あなたは誰なんですか?」    しばらく沈黙が続く。 自分の手すら見えない。 真っ暗な世界で、右も左もよくわからない。 突然、右の耳元から声がする。 「許されないということ、それは死ぬという許可がないということ」 さっぱりわからない。 私は、確かに死んだはず。 でも、声の主が言い放った言葉をかみ砕くと、私は死んでいない。 ちゃんと勉強しておけば、もう少しIQが高ければ理解できる? 考え事をするとき、いつも癖でするポーズ。 右手を、ぐーっと握って右眉からおでこに向かって小刻みにリズムをとっては上下に移動させる。 無意識に、考え事の癖が出ていた。 そして、今度は頭のてっぺんから高らかな笑い声が聞こえる。 初めは、クスクスっと小さく、やがてハッハッハと大きく。 しばらく止まない笑い声が、頭のてっぺんから右へ、左へ、正面へ、足下へ。 姿は見えず、声だけが移動する。
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