漆黒の蝶

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とても美しい、漆黒の蝶から飛び出す言葉は、恐ろしく冷たい。 「命を持つものの中で、自ら命を棄てるのはお前ら下等動物だけ。要するにそこら中にいるゴキブリ以下ということだ。そんなやつに簡単に死ぬことが許されると思っているのか?」 私は思わずはっと息を飲む。 確かに、自殺という行為は人間だけかもしれない。 虫も、鳥も、魚も。 死ぬときは、むしろ事故。 頭の悪い私でも、なんとなくわかった。 でも、死ぬことが許される?  それがどういう意味なのかやっぱりわからない…。 「あの~…蝶々さん。許されないということは、私どうすればいいの?」 さっきまで、質問には答えてくれていた蝶。 だが、いくら待ってもその答えは聞こえてこない。 ただただ、目の前の全く動かない漆黒の蝶を見つめる。
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