6人が本棚に入れています
本棚に追加
とても美しい、漆黒の蝶から飛び出す言葉は、恐ろしく冷たい。
「命を持つものの中で、自ら命を棄てるのはお前ら下等動物だけ。要するにそこら中にいるゴキブリ以下ということだ。そんなやつに簡単に死ぬことが許されると思っているのか?」
私は思わずはっと息を飲む。
確かに、自殺という行為は人間だけかもしれない。
虫も、鳥も、魚も。
死ぬときは、むしろ事故。
頭の悪い私でも、なんとなくわかった。
でも、死ぬことが許される?
それがどういう意味なのかやっぱりわからない…。
「あの~…蝶々さん。許されないということは、私どうすればいいの?」
さっきまで、質問には答えてくれていた蝶。
だが、いくら待ってもその答えは聞こえてこない。
ただただ、目の前の全く動かない漆黒の蝶を見つめる。
最初のコメントを投稿しよう!