漆黒の蝶

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その、なんとも固い地面からゆっくりと上体を起こしてみる。 自分が起き上がっていること、洋服をきていること。 手があり、足があること。 それについては理解ができた。 でも、それ以外は全く理解ができていない。 私は、自分の手を顔の高さまで上げてみる。 うん、確かに自分の手。 右の薬指には、金色の華奢な指輪がある。 誕生日に自分で買った、自分の誕生石の入った指輪だ。 ネイルもそのままだし。 そしてますます今自分が置かれている立場というものが分からない。 横たわっていた場所から、起き上がってみて。 そしてやっとまわりを見渡す。 そして、やはりそこはただ 白い 世界。 そうか、死にそうな人が見るのがお花畑や川で。 それを通り越して死んだ人は、こんな世界なのか。 ということは、ここは天国? それとも、地獄?
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