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よく分からない所は早良にお願いしよう。
佐久の企画書は、やっぱり私や同じ企画課の二人や早良よりは大胆で粗削りだけど、古臭いうちの会社にはない新しいアイディアばかりだった。
美音以外はホワイトボードに貼られた企画書を見ながら意見を言ったり、何とか企画自体は歩き出せたけれど、事務の田村さんが苦い顔をしていた。
母より年配で、優しくて可愛らしい小さな方なんだけど、新人さんとかに会社のルールやら決まりを教えてあげたりして、誰からも好感を持たれている。
まぁこの特別企画課はそんな人たちしかいないけど。
「やっぱ予算厳しいですか?」
「うーん。そうねぇ…早めに申請した方が良いわねぇ。女性の下着は売り上げ悪いから男性の方に予算はがっつり回されちゃうので」
このメンバーで予算会議に殴り込めれば、少しは奪い取れるかもしれないけど。
「でも……予算取りすぎて売れなかった場合は、打撃が大きいからねぇ」
確かに。
本当に佐久みたいに完売するつもりなら問題ないけれど。
「蘭、ちょっと良い?」
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