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早良が私にパソコンを向ける。
画面には『デザイナー:橘麗也』のHPが映し出されていた。
フリーデザイナーか。
クライアントは何社かあるが、どれも有名なアパレルブランドばかり。
若者の洋服がメインみたいだけど。
「佐久、この人、本当に知り合いなの?」
「はい。同じ大学の先輩です」
「この『女物の依頼は死んでもお断り』とメールのページにでかでかと載ってるのは?」
男服しかデザインしてないようだし。
「あ、女嫌いなんです。でもボクサーパンツって男物だし」
「却下。女の子用をデザインするのよ?」
佐久の企画書に、うちの会社は年配や上品な方々が購入しているから、若者を取り込むためにリーズナブルな価格やデザインが良いと書いてて納得したけど。
「女物を作らないのに作ってくれたら話題になるんじゃないか?」
「……そうかもしれないけど」
早良が少し考えてから佐久を見た。
「お前、口説けそうか?」
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