2枚.デザインと宣伝方法。

9/23

267人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
「終わらん」 誰が一日で終わるとか言ったんだ。 私だけど。 うちの会社は納品前は残業が続くけど、まだ企画段階は定時で帰る部署が殆どで。 22時になっても残ってるのは、このフロアに私だけだ。 「私も帰るわよー」 社長室から降りてきた母が私に手を振る。 っち。持ち帰ってから見せるか。 いや、もう明日で良いかな。 誰も居ないのを良いことに、椅子に体育座りでクルクルと回りながら移動する。 「そう言えば、早良くんは帰って来たけど、佐久くんは直帰? タイムカード押してないわよー」 「えー知らない」 「ふーん。珍しいわね。じゃ、お疲れ様」 ヒラヒラと手を振ると、母は車に乗ってさっさと帰って行った。 「よし。冷蔵庫を漁って何か食べてから帰ろう」 給湯室まで椅子に乗って、滑って行こうと、 思いっきり壁を蹴った時だった。 「あれ? 部長、こんな時間まで仕事してたんですか!?」 「ぎゃー!?」 佐久がバットタイミングで帰って来たが私は止まれない。 シャーッと佐久の前を椅子に乗ったまま通過して行った。
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

267人が本棚に入れています
本棚に追加