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蒸し暑い夏の夜――アスフ
ァルトは日中に溜め込んだ太
陽熱をまだ残している。
――熱い……
俺はそのざらついたアスフ
ァルトに頬を預けていた。
頬だけじゃない。胸も腹も、
両手両足全て……俺は朦朧と
する意識の中で、硬く荒れた
アスファルトをベッドにして
倒れていた。
――頬が熱い……
ざらつくシーツの上で、重
い体を動かそうと試みると、
頬は擦り切れた。
――痛てぇ……
擦り傷がひとつ増えたとこ
ろで、今の俺には大した問題
ではない。
――痛てぇぞ、糞が……
腹が痛む。左腕の感覚はな
い。何より右眼が使えねぇ。
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