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早馬に乗って林の中を一気に駆け抜ける。
パッと開けた視界の中、一際目立っているのは王宮だ。
適の侵入を防ぐために、高い山が三方を囲み、南側は海が広がる。
山は荒く削られて、下りることは不可能だと思われる。
山と山の間には辛うじて細い獣道があるが、そこも進軍してくるには狭すぎる。
広大な土地に、豊かな暮らしをする人々。
王宮も中々に大きく、警備も厳重。
ここだ。
一瞬で確信した。
小国ではあるが、これまで身近な大国に攻め入られなかったのは、この立地のためだけではない。
陸海空、全てにおいて他の国を上回っている。
人数が少ないにも関わらず、だ。
これは、参謀が素晴らしい働きをしているおかげだろう。
現国王は、まだ就任したての若き青年王。
しかし、隣国に舐められるわけにはいかないと、就任早々この辺りを騒がせていた海賊と山賊を一掃したらしい。
そんな話を聞いたのは数時間前。
あたしが生きる場所はここだ。
確信して、馬を走らせた。
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