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───一週間後。
カビ臭い地下で、格子の中を見下ろす人物。
黄金の長い髪に瞳。一瞬男であることを忘れてしまいそうなほど端正な顔。
後ろに控える男もまた金の髪をしているが、その人を見てしまった後ではとても金だとは思えない。
薄汚れた少女は、支給されている水を一口含んで、恐る恐るその冷ややかな瞳を見上げた。
会えた。この人がオウサマだ。
ようやく会えた。
「貴様、この俺を呼びつけるとはいい度胸だな?」
以外にも低い声が静かに、しかし強烈な怒りを含んで降ってきた。
やっぱり怒ってるのかな。
これでも、二日は我慢したんだ。
王様が訪ねてきてくれるのを。
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