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『…梅林寺さん、張りこみの経験は?』
リリコは、口角を上げて答えた。
『ありませんが、十年間、粘着なストーカーを相手にしています』
リリコへの返事は、無言のほほ笑みだった。
ふたりは、松波の行きつけのバーから数分の現場に向かった。
ハンター坂付近の、静かな住宅街の中。
場に似合わない原色ののぼりと看板を前にし、松波が足を止める。
『梅林寺さん、こういう場所初めてですよね。大丈夫』
松波の言葉が終わる前に、狭い背中は自動扉の中に入る。
『…先に行かないで下さいよ』
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