ー掃除人と夢で見た空ー

17/17
前へ
/17ページ
次へ
 時々、夢を見る。  どこまでも美しくて、残酷な夢を。    空に手を伸ばす。  でも自分の手は血にまみれていて、決してその美しい青に溶けていくことはない。  その空に、大切な人が吸い込まれていく。  叫んでも声は届かず、その人は幸せそうな笑みを残して逝ってしまう。  そして地に残るのは紅く染め上げられた自分だけ。  一人孤独な叫び声を上げて、その声がひたすら無慈悲な青の中に響く。  そんな、空の夢を。 《END》
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加