プロローグ 白き聖女と黒き従者

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魔物は、小さき存在のはずの彼女へ頭を垂れました。 その後、彼女は時間を見つけては森へ赴き、その魔物と会いました。 それは次第に日課となり、お互いはかけがえも無い存在へと変わっていきました。 そんな時でした。 彼女の噂を聞きつけ、その存在を我が物とせんために各国が動き出しました。 先に動いたのは隣国でした。 秘密裏に使者を送り、彼女を隣国へ招き入れようとしたのです。 彼女は人々の役に立てれば、そういう想いでやってきていました。 そのため、隣国への誘いには乗ることはありませんでした。 次に来たのは、彼女の住む国の首都からの使者でした。 しかし、それも断りました。 話の輪は、ますます広くなっていきました。 そして、事件は起きました。 しびれを切らせた隣国が軍を使い彼女を連れ去ろうとしたのです。 村は焼かれ、親切にしてくれた村人たちは殺されました。 焼ける村の中で彼女は悲しみと絶望に包まれました。 そんな彼女を救ったのは魔物でした。 魔物は軍を蹴散らし、彼女を守ってそのまま逃亡しました。 そして、二人は人をそして弱い魔物達を集めて国を作りました。 深い森の奥に存在する、小さな楽園。 望むものを拒まず、全ての者達が平和に暮らす楽園を二人は築いていったのです。
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