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日直の声に合わせて椅子から立ち上がって礼をして席に着く。どことなくルーチンワーク。
あぁそう言えば。
ツン、と制服の裾を隣から引っ張られる。
「ん」
ピッ、と紙切れを渡される。
「琉生が居眠りしないようにね」
「はぁい」
小声で会話。紙切れを受け取って前からは死角になる筆箱の影で開く。
『そーいえば萩さん何事もなかったように過ごしてるねぇ』
愛子の字はとても整ってる。教科書の字みたい。そこにわたしの癖字が並ぶ。
『んー……まぁ良かったんじゃないかな』
今日の日直は萩さんだった。だからわたしも思い出したのだし、愛子も思い出したんだろう。
先生の目の合間を縫って、紙切れを渡し合う。
『あんときは本当にどうなるかと思ったねぇ、萩さん』
『あー……髪の毛変わったくらいならまだしも、顔立ちも変わっちゃったもんね、あれは吃驚した』
『結局あれ、なんだったんだろ』
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