紺碧2

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物陰から飛び出して、的を撃つ。見事にど真ん中、流石自分。 愛用のライフルより、断然軽い、反動。 ラスト、的のど真ん中! ───clear─── ───perfect─── ふぅ、と一息つく。耳栓をとったら、わあぁ!という歓声に包まれた。取りあえずポーカーフェイスを取り繕って、射撃訓練室から出る。 「あんた凄いなぁ!こんなに若いっちゅーに、ワイらより上手いわぁ」 「いえいえ、あたしなんてまだまだですよ」 そっと笑って、その場を立ち去る。なんでこう、大阪の人というのはこんなにグイグイ来るんだ。人見知りのあたしにはちょいとキツい。 「まぁ、文句は言えないんだけどー」 居候の身、なんだから。         * 東京が陥落して、もうそろそろ半月ほど経つ。 あの日は大変だった。あんなに銃を撃ったのは生まれて初めてだった。そして、もう二度と来なくていい。 あちこち駆けずり回ったあたしとシュウは無事に東京が大阪の手に落とされたことを確認して、誰にもなにも言わずに、東京を抜け出した。
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