紺碧2

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大阪側の内通者に、あたしたちの保護を求めた。体裁は、幹部の息子と娘。将来入軍したいというあたしたちの熱意に負けて、訓練生としての仮入軍が認められた─── 因みに兄妹という触れ込みだ。 「たーだーいーまー」 与えられた自室に入る。サブマジンガンの調整をしてるシュウは、顔も上げずにお帰り、と言った。 「ちょいとシュウ、聞いてよー」 「んー?」 「好きです」 「はぁッ!?」 「って通信科の子から伝言。ちょっ……シュウ、なにそんなに慌ててるの」 くくくっ、と笑いがこみ上げてくる。シュウのあたふたした顔。マジで最高だ。 「でね、今夜九時、オーケーだったら訓練所で待ってます、だってー」 ケラケラと笑い声、あんまり愉快だ。 「シュウはどこでもモテるだねー」 「ツグミ、」 「んー、なにー?」 一瞬の沈黙のあと、なんでもない、とシュウは言った。         * 『なぁなぁ聞いた!?この間入ってきた子がおったやろ。兄妹の』 『うん、知っとるで』 『あの子らな、東京で裏切って大阪に寝返ったんやって』 『ホンマかいな』 「……あー……バレるのはやぁ」 お風呂場の入り口で、壁にもたれる。おばちゃん達の噂って怖いなぁ。
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