紺碧2

6/7
前へ
/26ページ
次へ
         * 夜の街で、二人で歩く。 「ねぇ、シュウ」 「ん」 「おじさんとおばちゃんたち、いい人だったね」 あぁ、とシュウは頷いた。いつの間にか大きくなった背中。あたしはシュウの背中から目をずらして、足元を見つめる。 東京軍だったら。 敗軍から来たとしても。味方としても。自分たちのために裏切ったのだとしても。裏切り者を内部にはいれないだろう。 東京は、器が狭かったから、負けた。 とんっ、とコンクリートを蹴ってシュウの背中を追い越す。 「さぁて、どこに行こうか、シュウ!」 「そうだなー……とりあえず西に行って───」 「そう言えばシュウさ、告ってきた人放ってきたけど良かったの?」 「どうせ社会人のオネーサンだろ。俺、年上タイプじゃないから」 「そうとは限らないじゃん。学生兵の一人かも───」 そんな訳はない。大阪にら学生兵なんていないんだから。 ほら、また、東京の負け。 急に黙りこくったあたしに、シュウがからかうように言う。 「なぁに黙りこくってるんだよ。今更不安になったかー?」 「そんな訳ないでしょ」 「だって俺とツグミがいれば最強、だもんな」 吃驚して、シュウを振り返った。シュウがそう言ったのは、初めてだった。いつもいつも、最強だのなんだのと夢みたいなことを言うのはあたしで。 にやっ、と笑ったシュウに抱きついた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加